多摩の自然雑記帳 Vol.1(2003~2007)

2023.7.2掲載

海浜植物

岩井浜の海浜植物

 千葉県の岩井で海浜植物の観察をしました。強風で撮影には苦労しました。砂地という悪条件に耐えるために様々な工夫があります。(0705)
 左上:ハマヒルガオ一面に咲いていました。砂の上に花と葉だけを出します。
 右上:ハマボウフウ「浜防風」風による病気を防ぐ中国の生薬の代用品。若い葉は刺身のつまなどにされます。根を深く下ろしています。
 左下:コウボウムギ「弘法麦」「筆草」の名もあります。スゲの仲間では珍しく雌株・雄株が別です。
 右下:ハマニガナこれも地表には花と葉だけ。寒帯から熱帯まで広く分布。いずれも太く深い根を伸ばしています。

リンドウ、アキノキリンソウ

リンドウ、アキノキリンソウ

 町田の里山で12月にリンドウ(左)やアキノキリンソウ(右)が咲いていました。恐らく草刈りの後に茎を伸ばして開花したものらしく、高さ10cmほどのかわいい株でした。田んぼが生きた形で管理保護されている谷戸の土手には他では少なくなったいくつかの植物を見ることが出来ます。(0710)

ルコウソウ、タコノアシ

ルコウソウ2種

 栽培植物のルコウソウ(右)。アサガオの仲間なのに葉が羽状で涼しげ。左は葉が丸いマルバルコウソウ。19世紀中頃渡来したとありますが、今や雑草化して各地で見られます。花はよく似ていますね。(2006年)

タコノアシ

 タコノアシ、タコが逆さまになって足を広げているように見えませんか。花びらは退化してめしべと10本のおしべと萼があります。田の畦など湿地に生えますが、人の手が入っているところではほとんど見つかりません。これも小山田緑地で撮影しました。(0611)

アサザ

アサザ

 アサザは古来親しまれてきた水草です。茎や若葉は食用にもされとか。浅いところに生えるので、「浅々菜」から転じたとの説があります。今では日本の絶滅危惧種で、町田の小山田緑地には「アサザ池」があって保護されています。

森林科学園のサクラ

森林科学園のサクラ

 高尾の「森林科学園」に行きました。
 タイハク(左上)ヤエベニシダレ(右上)、オムロアリアケ(左下)、期待したウコンザクラはまだ蕾でした。その他たくさんの種類がちょうど見頃で多くの人が楽しんでいました。
 ふと足元に目を移すとヤマルリソウ(右下)のかわいい花が咲いていました。ワスレナグサは近い仲間です。(0604)

ロウバイ

ロウバイ(町田忠生公園)

 近くの忠生公園に蝋梅があるのに、いつも遅れをとっていました。今年も寒さに惑わされずに咲き、良い香りを漂わせています。今咲いているのは園芸品種の「満月」と「素心蝋梅」という種類。ロウバイは花の中心が紅紫色をしています。
 間もなく山では他の花に先がけて、「マンサク」や「ダンコウバイ」・「アブラチャン」が枯枝を黄色く彩ります。赤いおしべが房のように下がる「フサザクラ」も”早起き”の仲間です。奥多摩の山で見ることが出来ます。今年は予測が難しい。(0206)

実りの秋

ヤブムラサキ、コブシ、ガマズミ、ラカンマキ

 実りの秋で、木々はとりどりの実をつけています。今年はブナが豊作だそうで、クマさんも喜んでいることでしょう。
 左上:ムラサキシキブ、よく庭などに植えられています。正しくはコムラサキ、山にある本家のムラサキシキブはこれほど実付きがよくありません。山には葉がビロードのような感触があるヤブムラサキもあります
 右上:コブシ変な格好の袋をかぶっていますが、赤い種子が顔を出し細い糸でぶら下がっています。
 左下:ガマズミ大きい葉に目立つ赤い実。雑木林の縁などに普通にあります。
 右下:ラカンマキ実をつける台(果床)が赤くなり、甘く食べられます。ちょっと目につきにくいかも知れません。(0510)

ツマグロヒョウモン

 温暖化のせいか動物の世界でも暖地性の種類が北上しています。このツマグロヒョウモンもその一つです。都内でもあちこちで見かけます。少し大げさに言えば、一番よく目につく蝶となりつつあります。栽培のスミレ類を食草としているので、都会地でも繁殖する条件が整っているとも言われています。左が雄で右上が雌。こちらは同じくらいの大きさです。
 動物は動くし逃げるから大変です。カメラを持って歩いていると、ひょんなところでチャンスに恵まれます。因みに雌(右上)は雑司ヶ谷墓地での撮影です。(0510)

水田雑草

水田雑草

 今回は水田雑草です。
 左上:オモダカ 細長い矢じり型の葉が、面高な顔を思わせるところから名がついたとされます。食用に改良されたのがクワイです。
 右上:コナギ 手入れの悪い水田では一面に広がって増えます。強雑草の印象を強く持ちました。ホテイアオイはこの仲間です。
 左下:イボクサ 一名イボトリグサ。汁をイボにつけると取れるとか。ツユクサの仲間です。
 右下:イヌビエ 世界の温・熱帯に分布しています。栽培ヒエはイヌビエから作られました。イネに混じって生えるとやっかいです。(0509)

サツマイモ、サンスベリア

サツマイモとサンスベリア

 左はアサガオ? いえいえ、実はサツマイモの花なんです。話には聞いていたものの、見るのは初めてです。知人がわざわざ千葉の方から運んできてくれました。朝咲いて昼にはしぼんでしまいます。
 右は昨年も登場したサンスベリア(虎の尾)の花です。今回は時期を狙って撮ることができました。宿題を残しておくと死ぬに死ねない、これは健康法になりませんかね。(0508)

ナスの仲間

ナスの仲間

 左上:ジャガイモ花は良く咲きます。白いものもあります。
 右上:トマトピーマンの花も黄色です。茎は毛だらけ。
 左下:ワルナスビ全草鋭いトゲが生え、抜くのは大変です。でも花はきれいで、ツツジの植え込みの中に咲いていたものは何とも美しかったですよ。
 右下:ナスうまく管理すると秋までなります。親の意見は無駄ばかりになってしまったのかなあ?(0507)

サクラ・シリーズ

サクラの仲間

 今回はサクラ・シリーズ。
 左上はソメイヨシノ、今年は開花が遅くサクラまつりに間に合いませんでした。無情な雨に急いで散ってしまいました。
 右上は関山(カンザン)、八重桜の代表選手。花色が濃い品種です。
 左下は楊貴妃(ヨウキヒ)、色が淡く、気品を感じさせる八重の品種です。
 右下は普賢象(フゲンゾウ)、2本あるめしべの形が普賢菩薩の乗っている象の鼻に似ているとして名付けられました。
 町田市の尾根緑道にはいろいろなサクラが植えられていて、長い期間花を楽しむことができます。小学生の作った名札がついています。(2005年)

ウグイスカグラ

 ウグイスカグラ(スイカズラ科)
 早春、ウグイスの鳴く頃に咲き出します。「カグラ」は神楽の舞に見立てたとの説があります。
 林の中に普通にあるのですが、時期が早いのと、花が小さくて比較的まばらに付き、枯木の中では意外と保護色みたいで気がつきにくい小潅木です。そういえば、鶯色をしているのはメジロで、本物のウグイスの姿にはなかなかお目にかかれません。(0504)

オゼソウ

オゼソウ

オゼソウ
 名の通り至仏山で発見された日本特産の固有種で絶滅危惧種。サクライソウ科という聞きなれない小さいグループに入っています。本州では谷川岳にもあります。小さい花を穂状にたくさん付けます。

至仏山の高山植物

至仏山の高山植物

 左上:ミネウスユキソウ 日本にはウスユキソウの仲間は何種類かあります。オゼソウと共に今回の目的だったホソバヒナウスユキソウは頂上付近にありました。風が強くて網膜に焼き付けただけ。で代打登場。
 右上:ミヤマアズマギク 高い山の草地に生えます。
 右下:タテヤマリンドウ 高山の湿地に生えています。
 左下:オオレイジンソウ トリカブトの仲間ですが、花はうすい黄色。林内の登山道の脇に咲いています。
 今年はニッコウキスゲは遅霜で全滅状態。他の花は目を向けてもらえる絶好のチャンスです。(0408)

シソ科の花

シソ科の花

 いずれも春に開花するシソ科の植物です。
 左上:キランソウ 一名ジゴクノカマノフタ、地獄の窯に蓋をして入らないで済む薬効があるとされたとか。
 右上:ホトケノザ 花の下の一対の葉を蓮台に見立てた。(春の七草のホトケノザはタビラコ)
 左下:ジュウニキランソウ 小野路の林中で今春初めて見かけました。
 右下:庭によく植えられるセイヨウジュウニヒトエ 野生のジュウニヒトエは色が淡く、毛深い。(2004年)

ガクアジサイ

ガクアジサイ

ガクアジサイ。周辺には飾り花(左)があります。これを額縁に見立てて名付けられたそうです。花びらのように見えるのは、がく(萼)で、似たような構造ですがハナミズキはほう(苞)。アジサイには中央に小さいつぼみがあります。よく見ると開花していることもあり、その花(右)には小さい花弁が5枚,おしべが10本、めしべが3~4本あります。花粉袋以外はみな青紫色です。全部が飾り花になっているのがアジサイ。シーボルトが持ち帰って以後ヨーロッパで愛され、品種改良されて逆輸入されています。山にはタマアジサイやコアジサイ・ヤマアジサイなどがあります。(2004年)

アツバチトセラン

サンスベリア

 よくある観葉植物の「虎の尾」、アツバチトセラン。サンスベリア(Sansevieria trifasciata)は覚えにくいですね。リュウゼツラン科に属し、ユッカもこの仲間です。英名ではスネーク・プラント、また「義母の舌」と言います。どういうイメージなのでしょうか。日本にもママコノシリヌグイ(タデ科)という植物があります。全草に逆刺があり、触ると痛い。
 花は珍しく、始めて見ました。この株は昨年も咲いたそうです。株が古くなると咲くことがあると書かれています。花期は短く2、3日で終わってしまいます。花茎にしずくがつき舐めると甘い。(2004年)

フキ、フデリンドウ

フキ

 フキ。一つの蕗の薹には何百もの花が集まっています。雌雄別株。有名なアキタフキはごく近縁で、暖地で栽培すると大きくならないとか。右は春に咲くフデリンドウ。広く分布していますが、小さい花なので注意しないと見逃してしまいます。雑木林の縁で日当たりの良いところを探すと見つかるかもしれません。茎の上の方で分かれて数個の花をつける株もあります。色の変化もあるそうです。(2004年)

春の花木

春の花木

 左上:ジンチョウゲ雪をかぶった姿も良いものですが、今年は見られなかった。白花種もあります。
 右上:枝を見れば納得します。3つに分かれるのでミツマタ重要な繊維植物で、お札の中にも入っている。赤い品種もあります。
 左下:トサミズキ高知県に特産します。花の柄が長く、花は7~10個。よく似たヒュウガミズキの方は柄が短く、花は1~3個。
 右下:サンシュユ中国名「山茱萸」の音読み。庭先で他木に先がけて咲くので、目立ちます。(0403)

センリョウ

赤実のセンリョウ

 「万両」と「千両」、ともに実が美しく落ちないで枝についています。目を惹くのにおいしくないので、鳥もいよいよとならないと食べないので、いつまでも残っているという話もあります。縁起がよいと、お正月の花としても愛されています。暮れにある花屋を覗いてみたら、何故かセンリョウばかりでした。
 マンリョウは実が下がり、センリョウは立ちます。まったく別の仲間です。赤実のほかに黄色のもの、マンリョウには白いのもあります。「百両」~「一両」は俗称です。百両はカラタチバナ、十両はヤブコウジ、一両はツルアリドオシ。この写真はセンリョウです。(2003年)

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